ヘルパーさんが来るたびに母が文句を言う
奈々子さんは50代です。
離れて暮らすお母さんのことが、いつも気がかりでした。
お母さんは足腰が弱くなり、介護認定を受けています。
そこで週に数回、ヘルパーさんに来てもらうことになりました。
「これで少しは安心できる」
奈々子さんはそう思っていました。
ところが、お母さんはあまり嬉しそうではありません。
ヘルパーさんが来る日になると、奈々子さんの電話が鳴ります。

「奈々子、今日はヘルパーさんが来る日よね。他人に家に入られるのは嫌だわ」
お母さんは電話の向こうで不満そうに言います。
「お母さん、そんなこと言わないで。せっかく来てもらっているんだから」
奈々子さんはなだめますが、お母さんは納得していない様子でした。
ヘルパーさんが来る日には、毎回お母さんのグチを聞くことになります。
奈々子さんはお母さんから着信が入るたびに、だんだん気が重くなってきました。
お母さんとヘルパーさんの間で板挟みになってしまった
しばらくすると、今度はヘルパーさんから連絡が入ります。
「お母さまが、私たちをあまり良く思っていないようで…」
お母さんは掃除や食事の支度をしてもらいながらも、
「こんなこと、自分でできるのに」
と不機嫌そうにつぶやいたりするそうです。

「毎回のことなので、少しやりにくくて…」
そう言われると、奈々子さんは
「申し訳ありません。ご迷惑をおかけしています」
と謝るしかありませんでした。
電話を切ったあと、奈々子さんはため息をつきました。
「ヘルパーさんは母の所に通うのを負担に感じているんじゃないかしら?」
奈々子さんはヘルパーさんの気持ちを想像してしまいます。
お母さんのグチを聞き、ヘルパーさんにも気を遣う。
まるで二人の間に板挟みになっているようでした。
「どうしたらいいのかしら…」
奈々子さんはすっかり疲れてしまいました。
心のモヤモヤをブロック解除してもらう
ある日、奈々子さんは出先で友人の恵子さんにばったり会いました。
「恵子さん、久しぶり」
「奈々子さんじゃない。たまにはお茶でもしましょう」
近くのカフェで話しているうちに、奈々子さんは思わずグチをこぼしました。
「実はね、お母さんとヘルパーさんのことで困っているの」
奈々子さんは事情を話しました。
「お母さんの気持ちも分かるし、ヘルパーさんにも申し訳ないし、どうしたらいいのかわからなくて」
恵子さんはうなずきながら聞いていました。
そして言いました。
「奈々子さん、それは大変ね。相手を変えることはできないものね」
奈々子さんはうなずきました。
「でもね、自分のモヤモヤする気持ちは変えられるかもしれないよ」
「どういうこと?」

「私ね、最近マインドブロックバスターの資格を取ったの。ブロック解除ができるのよ」
「ブロック解除?初めて聞いた」
恵子さんは、心のブロックを解除すると潜在意識の働きが変わり、物事の感じ方が自然に変わることがあると簡単に説明してくれました。
奈々子さんは内心、
「そんなに簡単にいくのかしら?」と半信半疑でした。それでも少しでも気持ちが楽になるならと思い、お願いしてみました。
ブロック解除はあっという間に終わりました。
奈々子さんは
「これで何か変わればいいな」
と思いながら恵子さんと別れました。
ヘルパーさんに心から感謝できた
それからしばらくして、奈々子さんはあることに気づきました。
お母さんのグチを聞いても、以前のようにモヤモヤしなくなっていたのです。
そればかりか、自分から進んでお母さんに話しかけていました。
「昨日はヘルパーさんに何を作ってもらったの?」
するとお母さんは、
「里芋の煮っ転がし。味はまぁまぁだったね」
と答えました。
「あら、お母さんの好物じゃない。ヘルパーさん、覚えていてくれたんだね」
そう言うと、お母さんもまんざらではない様子でした。
その話を聞きながら、奈々子さんはしみじみと思いました。


「私が離れていても、こうして安心していられるのはヘルパーさんのおかげだわ」
その後、ヘルパーさんから報告の連絡があったとき、奈々子さんは自然に言葉が出ました。
「母のことを受け入れてくださって、本当にありがたいと思っています。これからもよろしくお願いします」
以前のように気が重くなることはありませんでした。
「今日はヘルパーさんの報告を聞いても、気が重くならなかった」
奈々子さんは自分でも驚きました。
「これって、あのときブロック解除してもらったおかげかもしれない」
奈々子さんは、恵子さんにブロック解除をしてもらって本当に良かったと思いました。
(公認リサーチャー 阿部桃子)







