定年を迎えた夫
悦子さんは67才の主婦です。子供たちも独立し、再雇用が終わって完全に定年になった夫と2人で暮らしています。悦子さんは最近、朝昼晩、夫とずっと一緒にいるのがストレスです。
退職してからずっと、夫は家事もしないし、自分の行きたいところに悦子さんがついてこないと不機嫌、ついてきても黙って先を歩いています。
そして悦子さんが行きたいところや、やりたいことを言うと、やっぱり黙り込んで不機嫌になるのです。

娘にブロック解除してもらって
ある日、悦子さんの家に、娘の初音さんが顔を見せました。
初音さんは先日マインドブロックバスターの資格をとったので、お母さんにモニターになってくれないかと訪ねてきたのです。
「実はね、最近お父さんがね、すぐ不機嫌になるのがストレスなの。何も意見が言えない雰囲気なのが楽しくないの」と悦子さんはため息をつきました。
初音さんは「お父さんも困ったもんだね。お母さんにそばにいて欲しいなら、もっとお母さんの好きなことを理解して共感して、優しくしないとだよねぇ」とうなずきました。
悦子さんは「離婚したいほどお父さんが嫌いなわけではないけれど、やっぱり不機嫌な人とは一緒にいたくないのよね。私は私が好きなことを好きな時にやりたいわ。 どうしたらいいと思う?」と相談しました。

「じゃあ、それをブロック解除してみよう!お母さん手を出してみて」
初音さんは悦子さんの手を取り「夫の不機嫌に合わせるのがストレス」「夫に意見を言いたいけど無理だと思っている」をブロック解除してみました。
何も言わないのに夫が変わった⁈
初音さんが帰った後、悦子さんは夫と二人で夕食をとりながらTVのニュースを見ていました。すると熟年夫婦の考え方の違いについてのコーナーがありました。
「定年を迎えた夫の64%は今後妻と旅行にでも行こうかなどと思っています。ところが妻の方は、定年を迎えた夫の世話はこりごり、友人と旅行に行きたいと思っている人が82%です。」というアナウンサーの声に
「この気持ち、わかるわ〜」
悦子さんは、この時、なぜか番組を見て反射的に感想を言えました。
「えっ、そうなの」夫は悦子さんの口調に絶句しています。
「私、最近あなたに付き合うことばかりで自分の時間がないの」悦子さんは素直に自分の気持ちを話せました。
夫はいつもなら黙りこむところですが、この日は「…そうか。俺は2人で一緒に出かけるのが良いことだと思っていた」と言ったのです。

悦子さんはびっくりしました。「私といると不機嫌なのに、どうして連れ回すのかと思っていたわ」と言うと
「いまさら何を話していいかわからなくて、つい黙ってしまっていた。怒ってはいない」と言うのです。
今日初音さんにブロック解除してもらったばかりです。不思議なこともあるものだ、偶然にしてもできすぎていると悦子さんは食事が終わった後、すぐ初音さんにLINEを打ちました。
「お父さんが私の話を聞いてくれるって言い出したの! これってあなたのブロック解除の効果なの?」
「へぇ、それはすごいね。早速ブロック解除の効果が出たんだね!よかったじゃない」初音さんからはすぐに返事が来ました。
ある日、「次の週末ちょっと散歩しないか?」と誘われて日曜日、2人で川沿いを歩くことにしました。
「今日みたいに事前に言ってもらえると連れ回されている感じがなくて、いいと思う」と言いながら2人で並んでのんびり歩きました。
お互いの親の話など普段なかなかできないような話ができて、とても良い時間が過ごせました。そこで悦子さんは思い切って、これからは個人の時間を大切にしたいとの気持ちを話してみました。
「今まではあなたは一緒にいても1人にしても不機嫌になるから、ストレスだらけだったの」と打ち明けてみました。

「もちろんだよ、遠慮せずに好きなことをやってくれよ」
まさか夫からオッケーが出るとは思っていなかった悦子さんはとても嬉しくなりました。
悦子さんは、かなり心が軽くなりました。早速友人にランチの誘いをしました。
娘のブロック解除を受けてみて良かったな、また何か悩み事ができたら初音さんに相談しようと思いました。
(公認リサーチャー鷲浦朱里)







