お土産をもらうと心でため息をつく阿部さん
阿部さんは会うといつもニコニコされていてとても気さくな雰囲気の女性です。顔を合わせると、いつもたくさんのお友達に囲まれて明るく華やかで幸せなのかなと思いきや、月に一度、私と2人でお茶をする時だけは一気に雰囲気が変わります。
「聞いて。今日も友達からお土産をもらったの。ありがとうとは言うけれど正直心が重たい。誰にどんなお返しをしたらいいか考えるのもしんどいの。コレはあなたにしか喋ってないからオフレコでね。
自分が旅行に行っても、まず前にいただいたお土産のお返しを考えてしまうし〜日帰り旅行なのに、お土産で増えた荷物を見てため息。なんのために旅行してるんだかって思っちゃう日もあったの。配り終わったとほっとしても、この繰り返しでまたエンドレスにお土産もらっちゃうのよね〜」
なんとたくさん来るお土産が憂鬱だと言うのです。美味しいお土産が阿部さんの心に響かないなんて、あげた人ももらった方もお土産品もかわいそうだな。私はそう思いました。
喜べない心のモヤモヤこそブロック解除してみよう
みんなが私を旅先で思い出してくれるのはありがたいんだけどね、と言う阿部さんに「お返ししないとどうなるの?」と聞いても「別にお返ししなくてもいいとは思うんだけど…日が経つほどにこっちが気を遣ってしまって」と元気がない様子。本当に喜んでもらいたい人以外のお土産なんてやめちゃえば?と言っても「うーん…そうはいっても」と歯切れの良くない返事。
思い切ってそのモヤモヤ、ブロック解除してみない?と提案し「お土産を喜べない」ブロックを解除してみました。
人からの好意を喜べるように
阿部さんから驚きの報告が来たのは1週間後。「今日は上司から差し入れがあったんだけど、仕事で倍返さなくちゃとか思わずに素直にお礼が言えてたの!心が軽かった!そしたら上司もいつも頑張ってくれてるからご褒美よ!って笑顔で返してくれて。私、今まで人から何かもらった時点で借りがあると思ってしまってたのかも!それがモヤモヤだったのね!人の気持ちを素直に喜べると、お返しの物のあるなしではなくて、私の笑顔で相手が笑顔になっていることに気がついたの。私の心に余裕ができたのかな!笑顔の交換ができる人が沢山いるって私、幸せだね!ブロック解除、良かったよ!ありがとう!」
その日のティータイムは笑顔の報告とともに、阿部さんからのお菓子に舌鼓を打ちました。
(公認リサーチャー 鷲浦朱里)