お父さんが歯医者に行きたがらなくて困った
さと子さんは50代の会社員です。80歳近い両親が地方に2人で暮らしています。
さと子さんのお父さんは、若い頃は虫歯知らずで、歯医者に行ったことがなかったそうです。ところが最近、お父さんは歯が痛くてよく噛めないとこぼしているそうです。
それなのに歯医者に行きません。お母さんがどんなに勧めても行きたがりません。とうとう喧嘩になってしまったそうです。

「お父さん、柔らかいものしか食べられないのよ」
電話でお母さんから話を聞いて、さと子さんは心を痛めました。
「さと子がお父さんに、歯医者に行くように言ってよ」
「そんなの無理よ」
怖かったお父さんに話をするなんてできない
さと子さんのお父さんは体が大きく、しかも何かと大声で怒鳴る人でした。さと子さんにとってお父さんはとても怖い存在で、お父さんに自分の気持ちを言ったことがありません。
「お父さんのことを心配しているのに何も言えないの」
困ったさと子さんは、友人の友恵さんにお父さんのことをついグチってしまいました。
「お父さん大きいし、すぐ怒鳴る人だったから、お父さんに自分の気持ちが言えないの」
友恵さんはうなずきながら聞いてくれました。

「お父さんのことが怖いっていう気持ちのまま大人になってしまったから、今も自分の気持ちが言えないのね。それで、さと子さんはどうしたいの?」
「お父さんのことが心配なの」
「実は、気持ちを率直に伝えられるようになる方法があるのよ」
「友恵さん、どんな?」
友恵さんはお姉さんの話を始めました。
憧れのお姉さんにブロック解除してもらった
「姉が、不安を解消するプログラムを勉強していてね。悩み事を聞いてくれるから姉に相談したら?」
さと子さんは子どもの頃から、友恵さんのお姉さんに憧れていました。
「香奈恵さんでしょう?会いたいわ。お願い」
さと子さんは友恵さんの紹介で香奈恵さんに会うことが出来ました。
香奈恵さんは3分で1個心のブロックを解除するマインドブロックバスターの勉強中だそうです。さと子さんは香奈恵さんに相談できたことが嬉しくて、心のブロック解除をお願いしました。
香奈恵さんが「さと子さんの『お父さんに気持ちを伝えられない』という不安を解消しましょう」と言って、さと子さんの手を取りました。そして心のブロックを解除してくれました。

お父さんに気持ちを伝えることが出来た
翌週、さと子さんは実家へ行ってみました。さと子さんが留守番を引き受けて、お母さんは出かけて行きました。
お父さんと2人きりになって、さと子さんは
「今日の私は、お父さんと2人きりでいてもおどおどしてない。今までとちがう」と感じました。
以前ならもっとぎくしゃくしてしまい、お父さんに変に気を遣っていたかもしれません。
「この気持ちの落ち着きは、この間香奈恵さんにブロック解除してもらったからかしら?」
さと子さんは不思議に思いながら、お父さんにお茶を淹れました。
「お父さん、歯が痛いんだって?」
「いや大丈夫だ」
お父さんは強がっていますが、お茶を飲む時、飲みにくそうに口をかばっているように見えました。
「そういえば駅前においしいカレー屋さんができたんだって。みんなで食べに行きたいなぁ」
すると、お父さんは
「今、歯の調子が悪いからなぁ」
とポロッとつぶやきました。
「お父さん、歯医者に行って診てもらったほうがいいよ。」
お父さんは飲みにくそうにお茶を飲みながら黙っています。
「お父さんのこと、心配なんだ」
お父さんはまだ迷っているようでした。

それでも、この間香奈恵さんにやってもらったブロック解除のおかげで、さと子さんはお父さんと今までとは全然違うやりとりができました。さと子さんはさりげなく気持ちを伝えることができました。
「私、自分の気持ちをお父さんに言えたわ」
さと子さんは嬉しくなりました。
「これがブロック解除の効果なのね」
翌日、お母さんから電話が来ました。
「お父さんが『歯医者に行ってみるか』って。さと子が心配してくれているって分かったのね」
お父さんに自分の気持ちが伝わったと分かって、さと子さんはよかったと思いました。あんなに怖かったお父さんに、自分の気持ちを伝えることができたのもブロック解除のおかげです。
さと子さんは香奈恵さんに報告して感謝の気持ちを伝えたいと思いました。
(公認リサーチャー阿部桃子)







