高齢の親はいくら言ってもエアコンをつけない
若菜さんは50代です。親元を離れて30年経ちます。離れて暮らす高齢の親は、暑くてもエアコンをつけず扇風機で過ごしているようです。
若菜さんが口を酸っぱくして
「熱中症になるからエアコンをつけて」
と言っても聞く耳を持ちません。大丈夫だとか、電気代がかかるとか、最後にはうるさいと怒りだす始末です。
若菜さんはニュースで熱中症で救急搬送された高齢者の話を耳にするたびに、心配を募らせていました。
友人にブロック解除してもらうことに
週末、若菜さんは友人の清美さんと会う約束をしていました。清美さんと顔を合わせると、つい
「実家の親は、エアコンを使いたがらなくて困ってるの。熱中症になったらどうしよう。」
とこぼしてしまいました。
「それは心配ね」
「うちの親は、熱中症なんかならないよって、いくら言っても聞いてくれないの」
清美さんは何か考えている風でしたが
「高齢のお父さんの免許返納で困っている人がいたの。」
と話を始めました。
高齢のお父さんに免許返納の話を切り出せない娘さんが、清美さんに相談にきたそうです。
清美さんは、いろんな人のお悩みを解決するために、ブロック解除というやり方を身に付けていたのです。
その娘さんは、清美さんに心配な気持ちをブロック解除してもらってから、お父さんに免許返納の話を勧めました。するとお父さんは、すんなり娘さんの意見を受け入れてくれたそうです。
「そんな良い方法があるの?そのブロック解除って何?」
清美さんは若菜さんに、簡単にブロック解除について説明してくれました。
若菜さんは半信半疑でしたが、不安が解消できるならと
「親が熱中症になるのが心配」をブロック解除してもらいました。
親の態度が変わった
翌週のことです。若菜さんに親から電話がありました。なんとエアコンを使うようになったというのです。
「ブロック解除ってこんなに簡単に効果が出るの?」
若菜さんはびっくりしました。
電話で親は、近所の人が熱中症で救急車で運ばれた話をしました。
「日曜日の朝、町内会の草むしりだったの。そこで近所の山田さんが具合が悪くなってね」
山田さんは若菜さんの親と同年代で、活動的で元気な人だそうです。
山田さんは、少し休んだところ回復したので、そのまま帰宅したそうです。ところが夜になって容体が悪化して、救急車で運ばれてしまったそうです。
「草むしりは朝だったからそんなに暑くないと思ったのよ。たいしたことないって本人も言っていたし、まさか夜になって救急車騒ぎになるなんてね。甘く考えていたけど、熱中症って怖いわね」
それから近所の人同士で、エアコンをつけているかどうか、声をかけ合って気をつけているそうです。
「心配かけたね。ちゃんとエアコンつけてるから」
親の言葉を聞いて、親に自分の気遣いが伝わっていると感じて安心しました。
若菜さんは、ブロック解除の効果を実感したので、心配事があったらまたブロック解除を受けてみようと思いました。
(公認リサーチャー 阿部桃子)